レストラン・生活 2019.04月号

19 【需要対応経済】 「プリント写真を売るヒロさん②」  (アメリカ / ニューヨーク)

(3月号の続き)

ヒロさんは、はたして納税しているのだろうか。「納税者番号(タックスID)なしで働くことは違法だがら、年に一度払ってるわよ。私は一度逮捕されたことがあるけど」と苦笑する。

副業として、「ニューヨークの路上ワーカーたちを支援する団体組織『Street Vendor Project』でパートタイマーとして働いていて、月収は200ドル」だが、将来に対する不安や心配はとくにないという。

「お金よりも大切なものは?」という質問に対して「LOVEでしょ!?」と即答する表情が印象的で、「人種、国籍、宗教などをめぐりいがみあったり、争うなんてバカげてる。寛大な心があれば平和になるじゃない?お互いに助け合って生きていけばそれでイイじゃない。やっぱり心がないとお金があっても幸せになれないでしょう?」と言っていた。

「昔から人を助けたり、人と協力し合うのが好きだった。困っている人を助けたらイイじゃない?」と愛を信じて止まない。

そんな会話をしていたら午後10時になった。ヒロさんは1時間後に開放されるタイムズスクエアに向かうため、おもむろに荷物を片づけはじめた。それにしてもなかなかの大荷物だ。

月140ドルで借りている倉庫にこの荷物を預けているらしいが、路上ワーカーたちのためのレンタル倉庫があるなんて驚いた。

ヒロさんは仕事が終わった後、通常は部外者立ち入り禁止のその倉庫に招待してくれたり、懇切丁寧に路上ワーク事情を説明してくれた。優しく、強く、たくましい路上ワーカーに出会えて嬉しかった。


中野陽介

1987年福岡生まれ。19歳で渡米、Los Angeles City College卒業。23歳で岡本太郎著「今日の芸術」で芸術使命に目覚める。24歳で渡タイ、バンコクでサラリーマンと芸術家の2足のわらじ生活を3年間送る。28歳で1年間に22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。その後、路上ワークの研究を始め、現在、平日はサラリーマン、休日は路上ワーカーという生活を送っている。「路上ワークの幸福論」発売中。
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