レストラン・生活 2019.05月号

20 【需要対応経済】「ハラルフードトラック①」(アメリカ/ニューヨーク)

 世界の有力企業がひしめき合うニューヨークのマンハッタン。昼食難民や飲食店を探す人々の需要に応えるため、路上販売するフードトラックによく出会う。赤信号で止まっている時、ふと視線をずらすと、「ウェルカム!」というハラルフード店の電子掲示板のメッセージが飛び込んできた。接客してくれたのはバングラデシュ出身の男性。9年目を迎え、週5日、朝8時から夜6時まで働いているという。

 「いくらくらい稼ぐの?」「うちにはオーナーが居てね、時給制で、時給11ドル。1日110ドル、月2,200ドルにプラス、チップだね」。

 他には仕事をしていないようで、「なんでこの仕事を始めた の?」との質問に、「他に選択肢がなかったからね。でもこの仕事が大好きだよ」と笑顔で答えた。

 将来に対する不安はないが、お金より大事なものは、「自分の命だね」。「あなたにとって神様ってなに?」と尋ねると、「俺はヒンドゥー教だからクリシュア神を信じている」と答えた。

親切に対応してくれたお礼に注文しようとしたら、「なにが食べたい?」とあちらから聞いてきてくれた。カティ・ロール(注釈:具材を薄焼きのパンで巻いたベンガル地方の軽食)を注文すると「オッケー」と言って黙々と作り始めた。

感謝の気持ちも込めてチップ込みでお金を払おうとすると、「いらない」と断られた。初め意味がわからなかった。


中野陽介

1987年福岡生まれ。19歳で渡米、Los Angeles City College卒業。23歳で岡本太郎著「今日の芸術」で芸術使命に目覚める。24歳で渡タイ、バンコクでサラリーマンと芸術家の2足のわらじ生活を3年間送る。28歳で1年間に22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。その後、路上ワークの研究を始め、現在、平日はサラリーマン、休日は路上ワーカーという生活を送っている。「路上ワークの幸福論」発売中。
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