ビジネス・経済 2018.05月号

第25回 デベロッパーの選択について

第25回 デベロッパーの選択について

先月号ではアナンダーと三井不動産のプロジェクトであるアシュトン・アソークに関して、その顧客無視の対応に苦言を呈した。その後の株式ニュースによれば、実は2年も前からこの訴訟という重要事項があったにも関わらず、アナンダーの経営陣はそのことを株主や顧客に開示せず、また、監査法人も監査報告書で何らコメントしておらず、しかもSET(タイ証券取引所)もこの問題を開示するようにアナンダーに指示してこなかったこという不透明な点が指摘されているのだ(注:このアシュトン・アソークの問題については筆者のブログ、「バンコク コンドミニアム物語」で詳しく書いているので読んでほしい)。

したがって、今回はタイ人の間で信頼されているデベロッパーランキングについて書いてみる。まずこの表であるが、これはタイ人の間で人気がある電子掲示板、パンティップに掲載されたもので、最近住宅を購入した、もしくは今後購入を計画している人達、2百数十人にアンケートを取り、どのデベロッパーを信頼しているかについて調査した結果である。ただし、何千人規模の大規模な調査ではないので、当然、ある程度の偏りもあることを予め理解しておいてほしい。

しかし、大手のCBREやDDプロパティにとっては全てのデベロッパーがクライアントでもあり、こういう調査の結果は公表できない。そういう意味では、この調査結果はタイ人消費者の本音が垣間見える非常に興味深いものでもある。ここでは、回答者は信頼しているデベロッパーを複数選択できるのだが、実際、調査対象者であるタイ人の8割以上に支持されているデベロッパー、上位4社を見ると、筆者がかねがね思っている通りの結果になっているのである。

まず、筆者個人としては、このランキングの上位3社に関してはまったく異論はない。筆者がいつもセミナー等で推薦するランドアンドハウスとクオリティハウス、それに高級物件では定評のあるSCアセットサービスで上位3位を占めていて、この通りだろうと思う。

また、4位のスパライとなぜかここには載っていないルンピニの2社はコストパフォーマンスでみれば優秀なデベロッパーである。ただし、大まかにいって10万バーツ/㎡以下のセグメントに強いデベロッパーなのでグレードはそれほど高くないが、販売価格もリーズナブルでタイ人ミドルクラスの実需層に人気がある。もっとも、郊外のプロジェクトが多く、日本人投資家が投資として購入するチャンスはあまりないと思うが…。

さて、この表からわかるのは、まずデベロッパーの売上規模や住宅供給量はタイ人の評価にそれほど直結しないようだ。むしろ、しっかり作るという工事監理やCRM(Customer Relationship Management)で顧客満足度の向上に注力しているデベロッパーに人気があるようだ。2017年にチュラロンゴン大学が過去1年以内に住宅を購入した、もしくは今、住宅の購入を検討しているという人達約1,100名を対象にアンケートを取った結果、タイ人がコンドミニアムを買うときに重視する点として、購入した後のアフターサービスという指摘があったのだが、やはりタイには売りっ放しの無責任なデベロッパーが多いということだろうと思う。

従って、バンコクのデベロッパーはマーケットシェアなどよりも、CRMを重要視し顧客満足度の向上に注力するデベロッパーこそが生き残っていくべきだと筆者は思うのである。


藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。

連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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