ビジネス・経済 2018.08月号

第28回 スクムビットライン南部延伸線は買い場が到来?

第28回 スクムビットライン南部延伸線は買い場が到来?

最近、不動産コンサルタントであるネクサスプロパティマーケティングから、次のような調査報告が出てきた。

先が読めない新線には手を出さない

今回の著書で「マストランジットシステム路線間格差が始まる」と題して、これからは人気路線と人気の出ない路線が出てくるので、新線沿線の駅近物件を買いさえすれば儲かると勘違いして失敗する可能性があると書いた。

現在、各デベロッパーの間で用地取得が進んでいる注目の新線がオレンジ、ピンク、イエロー、そしてレッドラインなどである。しかし、正直、この中でどれが将来投資妙味が出てくるのかはもう少し先にならないとわからない。従って、これらの新線についてはデベロッパーのポジショントークに乗せられて早々と買ったりしない方がいい。

ただし、職住接近等のしっかりした理由があって自己居住用に買う実需層にとっては問題ない。我々のように投資で買うにはまだリスクが高いのである。

先が読めるようになってきた延伸線沿線

一方で、開通時期が近づいてきた4つの延伸線であるBTSグリーンラインのモーチットから延びる北部延伸線、サムローンから延びる南部延伸線、地下鉄MRTブルーラインのタープラからの北回り延伸線、そしてフアランポーンからの南回り延伸線の4線に関して現在の新規供給量をCBREが調査した結果がこの図である。

これを見ると、来年開通が見込まれているグリーンライン南部延伸線の新規供給量がこの2年間、あまり増えてないことがわかる。つまり、2年前に開通したパープルライン沿線の市場が供給過剰で総崩れしたのとはかなり状況が違っているように思えるのだ。

筆者は当時出した著書で、「パープルライン沿線は買ってはいけない」とはっきり書いたが、「グリーンライン南部延伸線については今後の需給次第」と結論を先延ばしした。というのも、当時、グリーンライン延伸線沿線でも、APの大型プロジェクトであるアスパイアーエラワンのように第2フェーズが凍結されたりと供給過剰の兆候が出てきていたものの、郊外を走るだけのパープルラインとCBD(中央商業地区)をつなぐスクムビットラインでは住宅需要も違い、単純には比較できないと思ったからだ。

しかし、その後、2016年、17年と南部延伸線沿線での供給量は1,000ユニット程度に落ち着いてきているのがわかる。実際、1年以上前にサムローン駅が開通したことで、筆者もこの駅周辺で新規供給が次々と出てくるのではないかと警戒していたのだが、目立った新規供給の動きは出てきていない。案外、開通後の地主の売惜しみで用地取得が難しくなってきているのかもしれないが……。

予算300万バーツの投資家にとってチャンスか?

現在、BTSスクムビットラインの1日の利用客は75万人である。それに対しMRTブルーラインが35万人、そして今も人気が低迷するパープルラインはわずか5万人と、グリーンライン延伸線沿線の潜在住宅需要が今後も断トツに大きいことがわかる。

それにもかかわらず、南部延伸線沿線の新規供給がここ数年落ち着いているということは、計画通り来年にこの延伸線が開通すれば、今後ミドルクラス実需層の需要増で需給が締まる可能性が高い。すなわち、南部延伸線沿いは今後地価が大きく上昇すると思うし、比較的安い値段で用地取得できた新駅周辺の既存プロジェクトにこそ投資妙味があるように思える。

従って、あまり予算に余裕がなく、300万バーツ程度の投資物件を探している人にとって、サムローン、エラワン、サムットプラガン(パクナム)等の駅から徒歩数分、例えば200メートル以内にあるようなプロジェクトは今後も希少価値が維持でき、絶好の買い場が到来しつつあるように筆者は思うのだが……。


藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。

連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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