バンコク不動産投資

第31回 サムローン駅を代表するプロジェクト「メトロポリス」

第31回 サムローン駅を代表するプロジェクト「メトロポリス」

筆者はBTSスクムビットライン南部延伸線の新駅、サムローンの将来性について以前から注目していて、本誌でも第13回(2017年5月号)と第28回(18年8月号)で関連記事を書いた(注:本誌Web版バックナンバー参照)。

そして、同駅を代表するプロジェクト「メトロポリス」の竣工が近づき、10月13日の内覧日に現地を再訪問してきたのだが、価格セグメンテーションでは中間的なメインクラスの範疇に入るものの、そのグレード感は期待を上回るものであった。例えば、ロビーや各階エレベーターホールのワサドゥ(建築資材)は上質なものを使っているし、圧迫感のない広い空間は総数1,700ユニットという規模のメリットを生かした余裕を感じさせる。そしてもちろん、その優れたロケーションこそが最大の魅力でもある。

従って、1,000万円~2,000万円の手頃な投資物件を探しているのであれば、十分検討に値するプロジェクトだと思うので、以下に筆者の考えをまとめた。

メトロポリスの魅力

1.サムローン駅に隣接した立地でイエローライン新駅からもスカイウォークで徒歩数分。将来建物が古くなっても、他のプロジェクトに引けを取らないロケーション的優位性を持つ

2.サムローンはマストランジットシステムで1日の乗降客が最も多いBTSスクムビットライン沿線駅であり、CBD(中心部ビジネス街)のアソーク駅まで直通約25分

3.同駅は3年後、イエローラインのターミナル駅にもなり、都心部へ通う通勤客やスワナプーム空港へ向かう乗客の乗換駅としても重要度を増す

4.3駅手前のウドムスク駅では東南アジア最大級といわれる商業施設「バンコクモール」が計画され、2駅手前の国際貿易展示場「バイテック」があるバンナー駅周辺は、次世代CBDになると期待されている

5.高速道路へのアクセスに優れる

6.オンヌット駅以遠で沿線最大級の商業施設「インペリアル・ワールド」までスカイウォークで徒歩5分。スーパーマーケットやシネマだけでなく、あらゆる 小売業者が出店していて生活環境が既に整う

7.大型プロジェクトだけあって、最上階に展望風呂があったり、敷地内にはコンビニを誘致予定と日本人入居者にも魅力的。また、欧米人購入者も多く、将来外国人が多く移り住んでくる

8.ダウンペイメントがわずか10%であり、投機的な転売目的の購入者も多い。さらにタイ人中所得層の購入が多く、金融機関の与信基準が厳しい今、竣工時に住宅ローンを借りられないケースも考えられる。その結果、転売に失敗したり残金決済ができないという理由で、竣工引渡し前後で投売りが出る可能性あり

同物件のリスク

1.新興デベロッパーであり、実績に乏しくブランドもないので施工監理や施工精度に不安

2.サムローンはバンコク都に比べてインフラ整備の遅れたサムットプラガーン県にあり、プライドの高いアッパーミドルクラスには敬遠する人も多い

3.賃貸する場合、現時点では日本人入居者を見つけるのは容易ではない

4.同駅周辺は大雨が降ると道路がよく冠水するし、洪水時には近くのクローン(運河)から水が溢れる危険性

5.交通量の多いスクムビット通りに面していて、郊外にも関わらず騒音が大きい

結論として、「メトロポリス」のベストバイは高層階で眺望のよい2ベッドルームであり、これを85,000バーツ/㎡以下で買うというのが投資のクライテリアになると思っているが、価格については今後のリセール状況を見ながら柔軟な対応が必要だ。


藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。

連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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