ビジネス・経済 2019.04月号

現地経営を実現する 日本人マネジャーに必要な3つの行動

弊社CELM ASIAは、アジア現地と日本本社をつなぎ、本社がアジアの人材課題を正確に把握するのを促進すると共に、アジア現地の人材・組織課題の解決をコンサルティングと人材育成の場を通じて支援してまいりました。その中で、現地の人材を活かしている現地日本人に共通する3つの行動があることに気が付きました。

「聞く」「教えてもらう」「やってもらう」

多様な民族や文化を包含するアジアでは、お互いに異なることが当然なので、仕事をする際には、現地スタッフ同士でもお互いに「聞く」「確認する」ことを普通に行います。これをやらないと、自分が本当にわかっているのか、相手はきちんとわかってくれたのかがわからないからです。現法の日本人マネジャーは、多くの場合その配慮が足りていません。

具体的には、指導モードに入る前に、まず「聞く」「教えてもらう」「やってもらう」ということをファーストステップにすることです。そうすると、今までとは違う事実が見えてきます。また、聞いて、教えてもらうことを繰り返すことで、彼らの主体性を引き出し、パートナーとしてあるいは右腕として活躍してもらえそうな人材を見出すことができます。そして、そういう人材にどんどん権限移譲をしていくことで、現地化、現地経営の下地ができていきます。

「答え」ではなく、「問い」を求める

「現地スタッフに意見を求めたが、大したアイディアはでなかった」という話をお聞きすることもあります。言語の問題もありますが、そんな時はきっと相手も、そのテーマに対してオーナーシップが持てていないかもしれません。

いきなり答えを求めるのではなく、議論したい課題に対する「質問」を現地スタッフから出してもらうようにすると、議論が活性化しやすくなります。この時、今までとは違う角度からの「問い」をたくさん出してもらうよう求めます。例えば、「この商品の拡大のためには、都市部からいくのか、地方からいくのか」という課題を議論したいときに、直接的な意見をいきなり求めるより「そもそも拡大のためにはエリア戦略が本当にいいのか」といった「このテーマの議論の前に聞きたいことある?気になっていることとその理由を全部だそう」といった投げかけが、彼らの問題意識を深め、同時にアイディアやアプローチの広がりを生みます。既にこちらに考えがある場合でも、それで説得してしまいたいのを我慢し、問いを多く出してもらうことが大切です。

彼らの発想や視点を取り込むことが可能になり、解決策につながる予想外の道筋が見つかるだけではなく、彼らのオーナーシップ推進力を引き出すことができるかもしれません。

人材の厚みをつくる

グローバル市場で勝つために目指すべきなのは、必ずしも現地スタッフを登用しなければいけない、ということだけではありません。最適な人材を最適なポジションにつけてビジネスに勝つことです。現地スタッフでも、日本人でも、どの国の人材でもよく、とにかく必要な役割をこなせる人材が、ふさわしいポジションにつくという状態の実現を目指すのです。そのための人材の厚みと柔軟性をもった企業経営が、グローバル市場で求められています。

そもそもアジアは、新しい取組みを成功させるために大切だといわれている、異なる能力・価値観が交じり合う多様性の高い地域であり、変化のスピードが早い地域でもあります。日本本社にありがちなステークホルダーの多さや組織の壁の厚さなどの障害もありません。新しい取組みを試す、最高の実験場といえるのではないでしょうか。
私たちは、アジア発で日本企業の変革をリードし、アジア発で世界を変えていきたいと思っています。


田口佳子
CELM ASIA Pte. Ltd.
Managing Director

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