聞きたくても聞けなかった、タイの税金事情

BOI事業と非BOI事業の解釈とは

BOI事業と非BOI事業の解釈とは

「BOI事業」と「Non-BOI事業(以下、非BOI事業)」に関する認識を誤って解釈していたため、税務恩典を受けることができなかった。税務調査において免税事業ではないとの判断で課税された―などというご相談をいただくことがあります。

相談をいただく経理担当者やBOI担当者の方とのお話からわかるのは、BOI側の見解のみで事業を捉えていたり、歳入局側にしか確認を取っていなかったためにBOI事業と非BOI事業の認識を誤って解釈してしまい、結果的にこのような問題が発生するケースが多く見受けられるということです。

会社設立やBOIの申請手続きをされた担当者の方は正しい認識をされていたのに、後任の方に正しい情報が伝わっていなかったことが原因で、解釈に誤りが生じるケースもあります。今回は、過去にBOI事業と非BOI事業の捉え方で誤った理解をされてしまっていた、具体的な事例をあげて解説していきます。

【BOI事業の開始時期】

「BOIの奨励事業のみを行う企業は、奨励事業を行うための準備期間もBOI事業を行っている」。これ自体は正しい理解ですが、会計上は初回の収入が得られた日からBOI事業をスタートしたとして処理します。そのためBOI事業しか行っていない企業であっても、会計上初回の収入が得られるまでは非BOIという期間が存在することになります。このルールの認識を誤ると、法人所得免除恩典が開始される日がずれてしまいます。

【法人所得税の免税対象限度】

BOIの奨励事業であっても、奨励証書に示された製品やサービスの限度 (売上個数や金額等)に定めがある場合、定められた数量を超えて収入を得た場合は法人所得税の免税対象となりません。そのため、BOI認可事業であっても非BOI事業としてBOI事業とは明確に区分して会計処理を行う必要があります。恩典の対象となる年間生産量を把握することで、プロジェクトの拡大申請を行うなどの措置を取ることができます。

【法人税免税恩典を持つ企業であれば自動的に法人税が免除される】

免税恩典を持つ企業であっても、恩典を行使するかしないかは各企業の判断となります。免税恩典を持つ企業であっても、決算日から120日以内にBOI事務局に対して監査報告書を提出し、法人税免除の申請をする必要があります。その後BOIからの調査、通知を受け、決算日から150日以内に国税への申告を行うことで、法人税が免除されます。


J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director
坂田 竜一

大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。
www.jga.asia

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