法務・会計・税務 2018.10月号

聞きたくても聞けなかった、タイの税金事情「相続税・贈与税の課税対象取引」

相続税・贈与税の課税対象取引

タイには以前、相続税や贈与税という制度が無く所得税のみが課税されていましたが、新しく相続税・贈与税制度が導入されました。タイ駐在中にコンドミニアムなどの不動産を購入された方や、タイ現地法人の株式を保有する方は、タイで今まで発生しなかった税金を支払う可能性があります。今回は新たに導入された相続税・贈与税の対象となる範囲の解説をしていきます。

国籍を問わず財産を相続した場合、タイの税法である歳入法典に定められる個人所得税は免除されますが、相続税の納税義務者となります。相続税は各被相続人から受け取った相続財産の合計のうち1億バーツを超える部分に対して課税されます。相続を複数回受け取った場合、合計金額を合算して課税されます。税率は親・子孫などの直系尊属・卑属の場合は5%、それ以外の場合は10%が課税されます。配偶者が受取る相続財産は相続税が課税されません。

贈与税については、財産および贈与者別に非課税枠が設定されています。受贈者が親・子孫などの直系尊属・卑属者の場合は一課税年度において、親から子への不動産の譲渡が 2,000万バーツ、直系卑属・尊属、配偶者からの道義的な生活費の贈与が2,000万バーツ、もしくはそれ以外の方から受け取る同義的な生活費等は1,000万バーツまでが非課税枠となり、これを超えた分に5%が課税されます。

課税対象となる資産は住宅や土地、銀行預金や株式などの有価証券、車両などが対象です。相続税の申告は相続から150日以内に、PM60という専用の申告書で歳入局に納税申告が必要です。申告時適切な財産評価を行う必要があるため、実際に相続をしてから作業を行うと申告期限に間に合わない可能性や、日本側でも相続税が課税される二重課税問題等も考えられます。

新しい税制のためタイ国内でノウハウや経験を積んだ方がまだ少なく、日本側においても国際相続に強い専門家は少ないため事前準備を進めて頂く事をお勧めします。


J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director
坂田 竜一

大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。
www.jga.asia

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