ビジネス・経済 2018.12月号

【ベトナム】留学生対策、日本語教育に力点=ベトナムとの国交 年、新時代の課題(ハノイ支局 冨田共和)

日本とベトナムの国交樹立から今年で 年を迎えた。日本に関心を持つベトナムの若者が増える一方、少子高齢化が進む日本は労働力不足に直面する。ベトナムから日本への人材受け入れが不可避の状況で展開する「新時代の日越関係」では、ベトナム人留学生対策や日本語教育が重点課題となる。

「人生傷つける」

日本に滞在するベトナム人留学生は8万人。技能実習生は 12万人。日本政府によれば、7年間でそれぞれ 14倍、 10倍に急増し、留学生は国・地域別で中国に次ぎ2位。実習生はトップだ。

日本へ行きたがるベトナム人が増えれば、留学あっせんや人材の送り出しでもうけようとする者が現れるのは自然な流れ。「日本では簡単にカネを稼げる」と説明するあっせん業者を信じて、保証金や手数料などを払うために多額の借金を抱えて日本へ来る留学生が後を絶たない。また、日越交流に詳しい関係者は「出稼ぎ目当ての『偽装留学』も少なくない」と指摘する。

留学生が日本で認められるアルバイトの上限は週 28時間で、収入はたかが知れている。生活に行き詰まって万引きなどの犯罪に走る者が出てくるわけで、日本に来た外国人の犯罪件数をみるとベトナムが国・地域別の首位だ。
日本政府は、こうした事態を「夢を持って訪日する若者たちの人生を傷つける」(梅田邦夫駐越大使)と憂慮。日越双方の相手に対するイメージが悪化し、関係を損なうとして、対応に力を入れている。

ハノイの日本大使館は昨年から、留学を装った出稼ぎを見分けるため、留学査証(ビザ)申請者の面接調査を強化した。その結果、十分な日本語を理解できないなど渡航目的が疑わしい事例が面接対象者の1~2割に上るという。

大使館は、不適切な申請に何度も関わっている 12のあっせん業者によるビザの代理申請を 月から来年3月までの半年間、受け付けないと決めた。ベトナム政府との情報交換も密にして、悪質な業者の排除に引き続き取り組む。

教師を質量とも拡充

国際交流基金などが実施する日本語能力試験を2017年にベトナムで受けたのは約7万1200人と、東南アジア地域で最も多かった。日越交流の深化を裏付ける数字だ。こうした事情を背景に、安倍晋三首相とグエン・スアン・フック首相は   10月、日本語教育に関する協力を進めることで合意した。

これに基づき国際交流基金は、日本語教師育成の新たな事業を手掛ける。ベトナムの大学などと連携し、日本語教師を目指す人や、既に教師となった人を対象とした集中講座などを開く計画だ。

事業を通じて多くの教師を生み出し、日本語を学ぶ機会を増やすことを目指す。また、基金の安藤敏毅ベトナム日本文化交流センター所長は、「日本語学習の目的・動機が多様化しており、質の高い教育が大切になっている」と強調。留学や技能実習、日本企業での勤務、ベトナムに進出した日系企業の勤務など、さまざまな形態に見合った教育を行う体制づくりにつなげたい考えだ。

※この記事は時事通信社の提供によるものです(2018年 11月 16日掲載)

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