ビジネス・経済 2019.01月号

【中国】中国外交が世界で摩擦=「一帯一路」に試練(中国総局 本間賢彦)

パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで11月に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、貿易戦争を抱える米中対立を背景に、首脳宣言採択を初めて断念する異常事態となった。習近平国家主席による提唱から5年の節目を迎えたシルクロード経済圏構想「一帯一路」も異論が噴出しており、パキスタンの反対勢力が中国の総領事館を襲撃する事件も起きた。習指導部が掲げる「大国外交」は各地で摩擦を生み、試練の時を迎えている。

米副大統領と「舌戦」

月7日に行われたAPEC関連行事「最高経営責任者(CEO)サミット」で、演壇に立った習主席とペンス米副大統領が「一帯一路」をめぐり「舌戦」を繰り広げた。

習氏は「5年前に私が提示した『一帯一路』共同建設の提案は、各国・地域の相互連携を促し、世界経済に新たな空間を開拓するのが目的で、幅広い歓迎を受けている」と強調。保護主義的な主張を強める米国を念頭に「『一帯一路』は開放的な協力のプラットフォームだ」と述べ、来年4月に北京で開く「一帯一路」第2回国際フォーラムへの参加を呼び掛けた。

その直後にペンス氏は、対中国の枠組み「自由で開かれたインド太平洋」をテーマに演説し、「一部の国が世界中の政府にインフラ関連融資を行っているが、そうした融資はときに不透明だ。主権を損なう対外債務は受けてはならない」とあからさまに中国を攻撃。「一帯一路」のキーワードを借用しながら「われわれは束縛の『帯』や一方通行の『路』は提供しない」とやゆし、聴衆の笑いを誘っていた。

習氏は前日、太平洋地域で国交を結ぶパプアやトンガなど島しょ国8ヵ国と首脳会談を開き、「一帯一路」推進に向けた各国の連携を取り付けたばかり。ペンス氏は、中国が「一帯一路」のインフラ整備に絡んで相手国に資金を貸し付け、返済できなければ完成施設の運営権などを支配する「債務のわな」に警鐘を鳴らした格好だ。

揺り戻しの動きも

「一帯一路」関連事業をめぐり、このところ揺り戻しの動きが出ている。マレーシアで5月に政権交代を果たしたマハティール首相は、マレー半島を横断する「東海岸鉄道」などの中止方針を表明。9月のモルディブ大統領選では、関連事業を推進していた親中派の前職が敗北した。

こうした中、パキスタン南部カラチで1月3日、武装集団が中国総領事館を襲撃。AFP通信によると、分離独立を唱える南西部バルチスタン州の過激派「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明を出し、同州に進出した中国側に対し撤退するか「次の攻撃」に備えるよう警告した。BLAは中国の新疆ウイグル自治区から同州のグワダル港を結ぶ道路などを両国共同で整備する「中パ経済回廊」に反対している。

中国外務省報道官は記者会見で犯行を非難した上で、経済回廊について「中パ両国と地域の発展や安定化、平和や繁栄に重要な意義を持ち、両国民の広範な支持を得ている。パキスタンと共に建設を断固推進する」と主張した。

「一帯一路」関連のインフラ整備を推し進めているアフリカなどには、複雑な国内事情を抱えている途上国が多い。中国は今後、各地でさまざまな抵抗に遭うことも予想される。

※この記事は時事通信社の提供によるものです(2018年11月29日掲載)

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