ビジネス・経済 2018.06月号

【連載】カシコン銀行経済レポート 2018年5月号

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タイ経済・月間レポート(2018年5月号)

3月のタイ景気は緩やかな拡大基調

▲2018年3月のタイ経済は緩やかな拡大基調になりました。その主な牽引役は輸出と観光の外需でした。また、民間消費も拡大したほか、製造部門も成長を続けました。しかしながら、民間投資は、比較ベースとなる前年3月の数値が高かったハイベース効果もあり、収縮に転じました。政府支出は投資支出が減少しています。

▲2018年4月の消費者物価の上昇率は、前年同月比1.1%上昇しました。原油価格が上昇し、コメなど農産物価格が回復傾向で、前月から伸びが加速しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は同0.64%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

▲タイ政府は、2018年にタイ人の国内旅行を一段と活性化させ、国内旅行消費額を1兆バーツにまで引き上げることを目標として定めました。その国内旅行の需要を喚起するため、今年1月1日~12月31日のタイ国内旅行の費用に対し、1.5万バーツまでが所得税控除の対象となります。対象地域は、ナーン、ウドーンターニーなど全国合わせて55県のマイナーな観光地域です。よって、今年、タイのマイナーな観光地域は、タイ人旅行者の増加によりその評判が勢いよく上がっていく見込みです。

▲現在、タイ人の国内観光客数の割合では、60%が22県の主要な観光地域を旅先とし、残りの40%は55県のマイナーな観光地域を旅先にしています。将来的にはマイナーな観光地域キャンペーンが長期的に成功する場合、マイナーな観光地域を訪れる旅行者数の割合が40%を超える可能性があります。

2018年3月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2018年3月の重要な経済指標によると、タイ経済は拡大を続けました。輸出と観光の成長が堅調なほか、内外需の拡大が製造部門の成長に貢献しました。民間投資は、比較ベースとなる前年3月の数値が高かったハイベース効果もあって収縮に転じました。政府支出は投資支出が減少しています。

3月の民間消費は前年同月比2・6%上昇し、前月の同2・5%増からほぼ横ばいでした。半耐久財以外の全てで上昇しました。農産物価格の下落で、農家世帯の所得は引き続き落ち込みました。購買力を支援する要因は総じてまだしっかりとしたものにはなっておらず、低所得層にまで分散していません。

一方で、民間投資は前年同月比5・0%収縮し、9ヵ月ぶりにマイナス成長に転じました。機械販売や資本財の輸入などが低迷した一方、投資向け自動車販売はわずかに上昇しました。

また、民間投資の収縮の一因は、前年の数値が高いハイベース効果にもあります。

3月の輸出は、前年同月比6・3%上昇しました。石油関連製品、自動車部品、エアコン、携帯電話、集積回路などの電子製品の外需が改善したほか、生産拡張によりハードディスク駆動装置(HDD)を含む工業製品の輸出が好調でした。一方で、昨年発生した南部の洪水の影響でゴムの生産量や価格が低迷していることから、農産物の輸出額は落ち込みました。

工業生産に関しては、前年同月比2・6%増となり、5ヵ月連続でプラス成長となりました。輸出と国内需要に呼応するため、工業生産も拡大しています。

観光業では、外国人観光客数が前年同月比16・3%増の349万人となり、前月に引き続き拡大しました。世界経済の成長を受けて全ての主要市場からの観光客数が増加しました。中でも中国からの観光客が急増しました。中国の地方都市とタイを結ぶ直行便が数多く就航したことが貢献しています。それに加え、イースター休暇の影響で欧州の旅行者が増えました。

2018年4月のタイのインフレ率

商務省が発表した2018年4月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比1・1%上昇しました。原油価格が上昇し、コメなど農産物価格が回復傾向で、前月から伸びが加速しました。

品目別にみると、非食品・飲料部門が前年同月比1・31%上昇しました。昨年9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が同5・98%上昇しました。それに加え、運輸・通信のうち燃料石油も同3・9%上昇しました。

一方で、食品・飲料部門は同0・68%上昇しました。調味料、肉・魚、卵・乳製品がそがそれぞれ同2・40%、0・42%、0・19%下落したものの、非アルコール飲料が同1・30%上昇するなどそのほかはプラスでした。

一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・64%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

2018年5月の外為相場

5月に入り、円対ドルの変動は110円台まで上昇し、ドル高・円安傾向を見せました。ドル高の要因は、米国の製造業関連統計の好調な内容や米長期金利の上昇です。米長期金利の指標である10年債利回りは3・1%台へ上昇し、2011年7月以来6年10ヵ月ぶりの高水準となりました。バーツ対ドルの変動も同様にドル高・バーツ安の傾向をみせました。

2018年のタイ人の国内旅行は堅調に成長する見通し

タイ政府は、2018年にタイ人の国内旅行を一段と活性化し、国内旅行消費額を1兆バーツにまで引き上げることを目標として定めました。国内観光支援策の一つは所得税控除です。この支援策の目的は、観光消費が少ない地域での消費額を増やすことです。対象地域は、ナーン、ウドーンターニー、ノーンカーイ、ラノーンなど全国合わせて55県です。その対象県での宿泊・買い物などの旅行関連費用に対し、1・5万バーツまでが所得税控除の対象となります。よって、今年、タイのマイナーな観光地域はタイ人旅行者の増加により、その評判が勢いよく上がっていく見込みです。

カシコンリサーチセンターは、2018年前半のタイ人国内旅行消費額が前年同期比8・5%増の5・15千億バーツになると予測します。タイ人国内旅行者数は、同5・4%増の7・48千万人になる見込みです。その主な要因は、今年のタイ旧正月である「ソンクラーン祭り」が2017年より活発化し、その期間の旅行消費支出が前年同期比15・8%増加したことです。また、タイでは歴史・文化を巡る旅行がブームとなっており、アユタヤ県をはじめとした観光スポットを訪れるタイ人の旅行者数が急増しています。

一方で、2018年後半のタイ人の国内旅行市場も引き続き拡大傾向にある見込みです。その主な要因は、ホテル・旅館経営者や航空業界による旅行キャンペーンや、所得税控除の効果などによります。

なお、マイナーな観光地域への支援策である所得税控除の実施期間は、今年1月1日~12月31日です。55県のマイナーな観光地域の旅行者数を増やすための長期的な対策として、タイ政府は県内の交通インフラの整備・開発や、タイ国内をターゲットにした戦略的な観光広報の展開などを挙げています。それに加え、ホテル・旅館などの宿泊施設は、地元のデザインの中に、モダンなスタイルを取り混ぜることが効果的です。

現在、タイ人の国内観光客数の割合では、60%が22県の主要な観光地域を旅先とし、残りの40%は55県のマイナーな観光地域を旅先にしています。将来的にはマイナーな観光地域キャンペーンが長期的に成功する場合、マイナーな観光地域を訪れる旅行者数の割合が40%を超える可能性があります。

 

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