法務・会計・税務 2019.01月号

タイにおける不動産購入に関する法律

タイにおける不動産購入に関する法律

はじめに

在タイ専門家によるビジネス法務の解説第4回は、不動産購入に関する法律について概説する。

1.タイにおける不動産購入の流れ

タイでは、不動産購入に先立って、購入者において①購入者自身が不動産の購入・所有要件を満たすかを確認し、②土地上の権利関係や現況調査を行うことが重要である。また、③購入にあたって、契約書作成や登記手続を確実に行うことが求められる。

2.購入者自身の不動産保有要件の確認(①)

(1) 外国人による土地所有

まず、土地所有の要件について確認する。

タイでは、外国人は原則として土地を所有できない(B.E.2497土地法典(以下、「土地法」という)第8章)。そのため、土地購入にあたっては、購入者自身がどのような資格で土地を所有するのかを確認する必要がある。

土地法上の「外国人」には、「株式の49パーセント超を外資が保有し、または株主の人数の過半数が外国人である」法人が含まれる(土地法97条1号。外国人事業法上のタイ法人とは定義が異なる点に留意されたい)。

さらに、上記の土地所有要件を満たさない「外国人」であっても、相続の場合(土地法93条)、投資奨励法に基づいてBOIが土地所有を許可した場合(投資奨励法27条)、タイ工業団地公社法に基づく許可を取得した場合(タイ工業団地公社法44条)など、一定の場合に、外国人による土地所有が可能とされている。この場合、土地の利用目的制限等、許認可の内容を事前に確認する必要がある。

(2) 外国人によるコンドミニアム所有

次に、コンドミニアムを購入する場合、全ユニットの総床面積の49パーセントを超えない範囲で、外国人による所有が可能である。コンドミニアム法上の「外国人」の定義は、土地法上の「外国人」の定義が引用されている点、注意が必要である(B.E.2525コンドミニアム法19条、土地法79条)。

3.購入対象不動産上の法律関係、現況調査(②)

不動産の概要や当該不動産上の権利関係等の基本情報の確認は、通常、土地の権利証(チャノート)その他の権原を示す書面をもって行う。

その他、建築許可書等をもって土地上建物の概要や権利関係を確認する、購入目的に合わせてゾーニングを確認するといった作業が必須である。また、状況に応じて、土地の境界の確認、土壌汚染の状況の調査などが必要となる。

4.契約書内容、手続や必要書類の確認等(③)

不動産売買契約は、書面で契約を交わし当局にて登記しなければ無効とされる(民商法典456条1項。実務上は土地局指定書式の契約書に記入し、登記手続を行う)。

また、移転登記や引渡しが適切になされなかったような場合、手付の支払がなされているか、当事者の署名のある文書(実務上は、土地局指定書式の契約書とは別に、当事者間で予め不動産売買を約する契約書を交わす)があるか、一部履行済みの場合でなければ訴訟をもって強制ができない(民商法典456条2項)。

したがって、不動産取引を行う場合、万が一に備え、契約書の作成、登記手続等を慎重かつ確実に行う必要がある。

Kasame & Associates Co., Ltd.
コンサルタント
日本国弁護士  藤井 嘉子

11年司法修習終了、同年より日本の法律事務所に勤務。17年12月より現職。Kasame & Associates Co., Ltd.は、03年設立のタイの法律事務所。主にタイに進出している日系企業へのリーガルサポートの提供を行っている(代表弁護士 Kasame Jai-ob-orm)。
URL:https://www.kasamelaw.com/
Contact:kasame@kasamelaw.com
TEL:(662)681-2171,2172 or 2026

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