ビジネス・経済 2019.04月号

タイにおける フランチャイズ 関連法

はじめに


日頃バンコクを歩いていると、数多くの日系飲食店を見かけるものだが、これらの多くはチェーン展開された、いわゆる「フランチャイズ・ビジネス」である。日本では、中小小売商業振興法という法律によってフランチャイズに一定のルールが課せられているが、タイではどうなのか。今回は、タイにおけるフランチャイズビジネスに関する法を説明する。

現在適用される法令の中で、フランチャイズビジネスに関連するものといえば、民商法、競争法、商標法、不公正契約法、営業秘密法などが挙げられる。たとえば競争法は、契約当事者による競争阻害行為を禁じているので、フランチャイジー(=加盟店)側の販売価格を拘束する行為や、グループ内企業を独占的にサプライヤーとして指定する行為などは、同法に関連して問題になる。

また、フランチャイズでは、店舗用のロゴマークなどの利用をフランチャイジーに許諾することが一般的なので、フランチャイズ契約は部分的に商標ライセンス契約を兼ねることになる。これに関してタイの商標法は、商標ライセンス契約について、タイ知的財産局(DIP)への登録を義務付けており、ライセンス契約をDIPに登録していないと、同契約が無効とされてしまうので注意しておきたい。

さらに、フランチャイズでは、一般的にフランチャイザー側に有利な契約が用いられるが、この点は不公正契約法において問題になり得る。不公正契約法は、一方当事者に過度に有利な契約が無効になることを定めており、同法第5条は、この法律が消費者契約以外にも適用されることを示している。

不公正か否かは最終的には裁判所の判断に委ねられるが、例えば、フランチャイザー側の故意・重過失による損害を一切免責するような条項は不公正として無効になると考えられる。しばしば問題になるフランチャイジー側の競業を禁止する条項については、一定期間は合理性があるとしても、その期間や範囲が広範に過ぎる場合は無効になる可能性がある。

タイでは、これまでフランチャイズに関する法律として「Franchise Act」の制定が何度か検討されていたものの、現在でも該当する法令は制定されていない。

しかし、過去の検討過程では、実際に法律の草案(フランチャイズ法案)まで作成されており、今後何らかの法規制がなされる可能性は十分に存在する。

仮にフランチャイズ関連法が成立した場合には、フランチャイズ契約の中に定めなければならない事項や、フランチャイズ契約時の積極的な情報開示義務などがルール化されると考えられ、今後の動向に注目したい。

GVA Law Office (Thailand) Co., Ltd.
代表弁護士 藤江 大輔

2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所パートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。
URL: https://gvalaw.jp/global/3361
Contact: info@gvathai.com

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