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CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の解雇規制比較

CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の解雇規制比較

4 ミャンマー

今回は、ミャンマーの解雇規制について述べていきます。

(1)解雇規制の不存在
最初に、これまで見てきたラオス、カンボジアの二カ国と異なる点は、明確な解雇規制が存在していないことです。

(2)解雇方法
上述の通り、解雇規制が存在していないため、解雇の方法は雇用契約書や就業規則の定めに従うことになりますが、雇用契約書に解雇の規定を置くことが法定され、その雛形(Notification No.140/2017 and Announcement No.4/2017)も公表されているため、解雇権の制限に関わる規定を盛り込む指導がなされていると捉えることもできます。なお、雛形は昨年に改定されています。

当該雛形では、1回目の契約違反に対しては口頭注意、2回目は書面注意、3回目は誓約書の取得、そして、3回目の違反を犯してから12ヵ月以内に4回目の違反があった場合に初めて解雇することができる旨が規定されています。また、通常違反を犯して12ヵ月間新たな違反を犯さなかった場合、または3回目の違反を犯して12ヵ月が経過した時点で違反歴が消滅するとされています。そして、雇用者は解雇理由を記録することが求められます。

このような事情から、当該雛形に従えば、ミャンマーにおける解雇は比較的困難といえます。

(3)解雇補償金
解雇規制と違い、解雇補償金については、労働省の通達(Notification No.84/2015)に支払の義務が明記されています。金額は、勤続期間に比例して設定されており、例えば、6ヵ月以上~1年未満であれば50%、1年以上~2年未満であれば100%という具合です。

なお、被雇用者側に帰責性が認められる場合の解雇においては、上述の労働省からの就業規則雛形に、解雇補償金の支払い義務がないことが明記されています。

 


One Asia Lawyersグループ ミャンマー事務所
藪本雄登
現地弁護士と協働し、タイを中心にタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)の案件を担当。CLMへのクロスボーダー進出支援業務、M&A、労務、税務、紛争解決案件等を担当。ビエンチャン日本人商工会議所事務局長(2015年)、カンボジア日本人商工会労務委員(2014年、2015年)等を歴任。

One Asia Lawyers (旧JBL Mekong)
One Asia Lawyersは、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、マレーシア、東京、名古屋にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。各事務所には、日本人弁護士・専門家が常駐しており、ASEAN地域に特化した進出法務、M&A、コーポレート・ガバナンス、労務、税務、知的財産、不動産、訴訟・仲裁対応などについて、現地法弁護士と連携の上、現地に根付いた最適なサービスを提供しております。
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