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CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の「競争法」

CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の「競争法」

今回からはカンボジア、ラオス、ミャンマーにおける競争法をテーマに扱います。日本では独禁法と呼ばれ、価格協定 (談合)やM&Aを行う際などに市場独占状態になってしまうような場合に適用される法律になります。カンボジア、ラオス、ミャンマー等でもM&Aが行われるケースが増えてきていることから、競争法に注意を払う必要が高まってきています。

アメリカやEUでは、比較的厳しい基準の規制が存在し、高い執行力で国際的領域をカバーしながら運営されており、これまで多くの日系企業が高額な制裁金の支払いを命じられてきました。ASEANにおける先進国のシンガポールも同様で、近年、数社の日系企業が価格協定や不法な情報交換を理由に、数億円規模の制裁金の支払いを命じられています。

ここタイにおいても、1999年から旧法が施行されていましたが、適用事例は限定されていました。しかし、昨年の2017年には新競争法が成立・施行され、2018年度には同法に基づいて新競争取引委員会が発足し、各種規則や細則が発布される見込みとなっています。

競争法整備の国際的な流れは、ASEANではシンガポールやタイを始め、CLM三国にも達し始めています。ですので、これまでのように法律が未整備だからということで、不用意に競合他社等と情報交換を行ってしまいますと、内容によっては、競争法違反として、高額の制裁金を課せられてしまうということにもなりかねません。

また、日本では「独禁法」という名称も手伝って、一般的に、全国の市場を独占するような大企業にのみ関わりがあるものと誤解されやすいですが、「市場画定」といって、特殊な商品のように市場が小さい場合であれば、中小企業であっても市場独占状態を形成しうるため、違反行為と評価される可能性があります。

CLM三国にも競争法整備の流れが及び始めていると述べましたが、現在は、カンボジアでは、商業省で草案の作成が行われている段階です(カンボジアの各論では、作成中の草案内容をご紹介する予定です)。ラオスでも競争法が2015年に成立しています。同法の実施と執行を担う競争委員会は未設立の状態です。近年、国が開かれ、外資系企業誘致のための法整備が活発なミャンマーでは、2015年2月に競争法成立、2017年2月より施行され、同年10月9日付で競争法規則が成立しています。ただ、こちらについても競争委員会は未設立のままの状況です。


One Asia Lawyersグループ ミャンマー事務所
藪本雄登
現地弁護士と協働し、タイを中心にタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)の案件を担当。CLMへのクロスボーダー進出支援業務、M&A、労務、税務、紛争解決案件等を担当。ビエンチャン日本人商工会議所事務局長(2015年)、カンボジア日本人商工会労務委員(2014年、2015年)等を歴任。

One Asia Lawyers (旧JBL Mekong)
One Asia Lawyersは、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、マレーシア、東京、名古屋にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。各事務所には、日本人弁護士・専門家が常駐しており、ASEAN地域に特化した進出法務、M&A、コーポレート・ガバナンス、労務、税務、知的財産、不動産、訴訟・仲裁対応などについて、現地法弁護士と連携の上、現地に根付いた最適なサービスを提供しております。
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