「東南アジアのデトロイト」と呼ばれるタイに進出する自動車・部品メーカーは、輸出先の気候や路面状況に適した自動車を生産するために設計・開発機能を拡充させている。日本音響エンジニアリングは、昨年まで日本からの輸出と出張でタイの顧客に対応してきたが、グローバル化を進める中、さらに密接した営業体制作りを強化。中期的には、タイの拠点を足場に近隣国への事業拡大を図り、海外売上比率を引き上げる計画だ。
工場内でも耐え得る設備を
製品の研究開発を目的とした実験を行う防音室や無響室などは、品質管理用の実験室と比べて大きく、性能も高度なものが要求される。一方でタイには、製品の品質を管理するために簡易の音響測定設備を所有している工場が少なくない。
「工場内に設置するので、小規模で低価格の設備で構わない」と考えがちだが、NAPの高島和博社長は、「騒々しい工場の中で小さな音を測定しなければならないので、しっかりした設計が不可欠」と語る。品質管理向けの防音室の性能は、外部の騒音の大きさと、内部で測定したい音の大きさの関係で決まる。外部の騒音が大きい工場のライン脇に設置された防音室で、非常に小さな音しか発しない部品の測定が要求される場合には綿密な検討が求められるという。
音響性能を保証
自動車や電気機器の開発で、不要な騒音・振動を低減するためのコンサルティングサービスも提供しているNAPは、設置場所の騒音状況の調査を行うとともに、測定対象となる音の大きさや周波数特性に関する情報を得てから、顧客のニーズに合わせた最適な仕様を提案。納品後に設計通りの性能が出ているかを確認するための音響性能試験を行い、音響性能を保証する「責任施工体制」をモットーとしている。
「日本で半世紀以上に渡り、培ってきた技術力と数多くのプロジェクト(主に教育機関や製造業向け)の実績をタイで発揮したい」と、高島社長は意気込む。
NOE Asia Pacific Co., Ltd. Managing Director 高島和博