ビジネス・経済 2018.10月号

音のプロフェッショナル集団

ArayZ記事をPDFでダウンロードできます

メールアドレスを入力し、ダウンロードボタンをクリックしてください。自動送信されるEメールからダウンロードができます。

騒音の発生源を突き止めて対策を提案

急速に工業化を遂げたタイだが、騒音など環境関連の法令の整備は遅れている。トラブルへと発展しかねない空港や幹線道路、工事現場や工場の近隣住民への配慮だけでなく、現場の安全を守り、従業員の健康管理を重視する企業が今後、騒音を低減する対策を求めるケースが増えるだろう。

「音は耳で聞くもので、目に見えるものではない」が、音のプロフェッショナル集団である日本音響エンジニアリングのタイ現地法人「NOE Asia Pacific(以下、NAP)」は、日本で半世紀に渡って培ってきた音響技術を活かして、騒音の発生源を可視化することにより状況を説明し、最小のコストで適切な効果が得られる産業防音サービスを提供している。

NAPの高島和博社長によると、ポイントはまず影響の大きい騒音源を特定すること。工場内には多くの騒音源があるが、高島社長は、「まず現況の的確な把握が必要です。自社開発した全方位音源探査システム「Noise Vision」の球型センサーには、31個のマイクロホンと12個のカメラが装着されており、短時間で工場内や敷地の境界において騒音の発生場所を選別し、音の強度を可視化します。」と“見える化”のメリットを説明する。

全方位の音を探知

騒音の測定は従来、先端にマイクロホンが一つ装備されたサウンドレベルメーター(騒音計)で行っていた。この方法だと、どこから音がどれだけ出ているのかを直感的に把握することが難しいのが欠点だった。「Noise Vision」は、31個のマイクロホンで同時に測定を行い、音が球の周囲を回り込む際の伝達情報を使って音源がどんな場所にあっても可視化を可能をとしている。

例えば、工場においてそれぞれの装置が出す騒音を計測。「Noise Vision」で、騒音の寄与を順位付けして、寄与が大きい場所(モニターでは赤い部分)から対策を練る。音の発生場所の強弱が写真の上でサーモグラフィーのようにカラーマップ表示される。測定結果を総合し、騒音の伝わり方を俯瞰的に予測する「騒音伝搬シミュレーション」で、現況と防音工事後の騒音の分布図を作成し「この場所に防音工事をしたらこのような効果が出ますと、最適な方法を提案します。(高島社長)」、と顧客に納得してもらった上で工事を開始する。

手軽な可視化装置も

小型の球型センサー「Sound Graphy」は、ハンドヘルドで手軽に使える音の可視化装置。無線接続を採用し、サウンドレベルメーターのような手軽さで簡単に音源探査・可視化測定ができるのが特徴だ。

工場の設備点検では同装置を持ちながら工場内を巡回でき、空気漏れ探知や機械設備の予防診断ができるなど用途は広く、タブレット端末の機動性を生かして音が発生している状況のスナップショットを簡単に共有することもできる。

「SoundGraphy」は、機器の販売とともに、NAPのエンジニアによる技術サービスとして利用してもらうこともできるという。高島社長は、「必要な機能に絞り込むことで安価になりました。音源探査を容易に、誰もが利用できることを目指した製品で、自動車や産業機械、建設機械等の工場で利用されています。」と胸を張る。

バックナンバー Back Number

バックナンバー Back Number

gototop