【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

【連載】半歩先読み、タイ自動車市場 ~タイ自動車ユーザの実態と展望~第4回 価格上昇はピックアップユーザの購買意欲に大きく影響する(後編)

nri

第4回 価格上昇はピックアップユーザの 購買意欲に大きく影響する(後編)

NRIは、「エコカー」「ピックアップ」「E85対応車」「安全性・装備」の4項目を選び、ユーザニーズの変化と政策の効果を検証した。具体的には、バンコクおよび地方都市ウボンラーチャターニー(以下、ウボン)で対面式の簡易アンケートを行うことで、ユーザニーズを把握した。
本稿では「1tピックアップ」の結果について述べる。

1tピックアップに対するユーザニーズ

現在1tピックアップを保有し、次回買替時にも1tピックアップを選択するユーザに対して、価格許容度に関する簡易アンケートを行った。その結果、地方(ウボン)のユーザにおいて、価格上昇に対する購買意欲の著しい低下が見られた(図表)。所得水準が高いバンコクにおいても、現有車からの価格上昇が2万バーツを超えると、購買意欲の低下が確認された。一方で、許容価格を超えたときに買う車を尋ねると、地方(ウボン)では、約6割が1tピックアップを挙げていた。これは、同スペックの1tピックアップが価格の観点で手に入らないならば、スペックを下げたモデルや中古車を購入することを意図していると考えられる。

nri
これらを踏まえると、税制変更や規制対応に伴う1tピックアップの価格上昇は、タイ国内の同市場に対して、規模縮小や購入モデルのダウングレードといった影響を与えると考えられる。そのため、日系企業は、輸出先の市場を見つつも、足元の最大市場であるタイのユーザニーズをより綿密に把握し、タイユーザの価格許容度を考慮した上で、スペックと価格のバランスを取っていく必要があるといえる。タイユーザの重視するデザイン性を維持した上で、見えない箇所の選択的なコストダウンや、エンジン性能向上に基づくライフサイクルコスト低減に取り組み、ユーザにとっての価値を上げていくことが求められる。
次回は、アンケート結果を踏まえて、E85対応車に対するユーザの購買傾向について考察する。
(次回、ArayZ11月号に続く)

【野村総合研究所タイ 無料セミナー】
「タイ拠点の機能強化・統括会社化を通じたASEAN経営システムの再構築」
◎内容 : 統括会社に関わるタイの政策や日系製造業の動向、前提となるタイ製造業の強みをまとめた上で、タイ統括拠点をハブとしたASEAN経営システムのあり方について発表します。
◎日時 : 11月11日(金) 午後3時~6時 (6時~懇親会)
◎場所 : ソフィテル・バンコク・スクンビット
◎申込方法 : 下記URLにアクセスし、必要事項を入力して登録してください。
【URL: https://goo.gl/9l8Cxz

執筆者:野村総合研究所タイ

nri
シニアコンサルタント
山本 肇

nri
主任コンサルタント
吉村 英亮

nri
《業務内容》 経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション
399, Interchange 21, Unit 23-04, 23F,
Sukhumvit Rd., Klongtoey Nua,
Wattana, Bangkok 10110
TEL: 02-611-2951
URL: www.nri.co.jp

gototop