法務・会計・税務 2018.08月号

タイの税務をうまく生き抜く「コツ」

~タイ人経理スタッフに任せっきりにせず、日本人管理者も税務に関与する姿勢が重要~

タイで事業を行う上で、気を遣う実務の一つがタイの税務。VAT・源泉税は毎月遅延なく申告・納税が必要ですが、毎月適切に申告・納税していても、払いすぎた税金は還付申請を行っても、なかなか戻ってきません。約9年間、タイの日系企業の会計・税務をサポートし、その現場を見てきたProMissionCo.,Ltd.代表取締役、弘畠夕子氏に、タイでの税務トラブルを避けるコツについて話を聞きました。

「タイの税務で、トラブル回避や対処法にコツはありますか?」

「これさえやっておけば、税務の問題は起こらない!」という万能な解決策は、残念ながらありませんが、いくつか抑えるべきポイントがあります。

一つ目は、管理する側の日本人経営者と、実務を行うタイ人経理スタッフが、うまく連携しながら税務実務を行うこと。日本人経営者は経理などの管理職経験の浅い方が多く、税務をタイ人スタッフに任せっぱなしの会社を散見します。

その一方、税務を任せっきりにしておいても、問題なく実務をこなしていけるだけの能力・技量のあるタイの経理人材は少ないのが現状です。日本人経営者側も最低限の税務知識を身につけ、重要なポイントはタイ人経理担当者に確認する、または然るべき機関へ確認作業をさせ、共に管理していく姿勢が必要です。経営者のその姿勢が、リスクヘッジになります。

二つ目は、自社の抱える問題を関係機関・省庁に相談することで、結果的に団体交渉権を行使することになり、解決の突破口につながることがあります。

最近では、VAT還付遅延が深刻化している状況を受け、バンコク日本人商工会議所(JCC)等が中心となり、「ビジネス環境小委員会」を通じてタイの関係省庁と交渉し、問題解決に向けての一定の前進・成果が報告されています。これは一例で、類似の事例をこれまで何度も目にしています。個別の問題だとあきらめず、関係省庁に相談することも重要だと思われます。

「タイ人経理担当者による確認作業、とは具体的にどのような方法がありますか?」

タイ人経理担当者は、過去の自身の実務経験・知識のみを頼りに実務を行う傾向が強く、その知識や判断が必ずしも正しいとは限りません。担当者の言葉を鵜呑みにするのではなく、不確かな点や不安な点がある場合は、歳入局のコールセンター(電話番号:1161)に問い合わせする、複雑な個別の相談については、管轄の歳入局担当官に相談することが重要です。

歳入局コールセンターに問い合わせた場合でも、具体的な指示・回答と共に、根拠となる税法の条文も教えてくれますので、スタッフの知識の補強にもなります。

「日本人管理者に必要とされる税務の知識を得るには、何かよい方法はありますか?」

バンコクでは、定期的に日本人向けの税務セミナーが行われておりますし、弊社も毎月、同様のセミナーを行っています。地理的にバンコクでのセミナー参加が難しい方々や、日本本社の担当者向けにも、DVD教材「タイの税務の基礎知識~知識入門編~」を作成し、販売しています。必要な税務知識を包括的に学び、税務の勘どころ、基本的なコンセプトを身につけることができる内容となっています。


ProMission Co., Ltd. 代表取締役 弘畠 夕子
米国公認会計士。2011年に同社をバンコクに設立。会計・税務サービス(記帳代行など)から、会社設立等の法務手続きをワンストップ・サービスで提供。セミナーを毎月、開催している。海外生活はタイで5ヵ国目。

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