「タイ+1」 ミャンマー、カンボジア、ラオス人がタイで働く理由

「タイ+1」 ミャンマー、カンボジア、ラオス人がタイで働く理由

GMS(大メコン経済圏)全体で労働賃金が上昇を続けている。
2015年のAEC発足に向けた人材開発という視点から、HUMAN ASIA RECRUITMENTの糸永里美氏がタイにおけるミャンマー、カンボジア、ラオス人材の実情を伝える労働人事コラム。

タイ人就職市場は売り手が続き、良い条件を求め繰り返されるジョブホッピングが改善される兆しは残念ながら見えません。工業地域では労働力の確保と安定、稼働率の向上が今も大きな課題です。タイ政府もこの状況は把握しており、ミャンマー、カンボジア、ラオスからの未熟練労働者に2年間の就労ビザを発行しています。このビザは1回の更新が認められ、最長で4年間、これら3ヵ国からワークパーミットを所持したワーカーの正規雇用が可能となっています。
今後も、タイ政府が正規の就労ビザ発行数を制限する可能性は低いように思われます。未熟練外国人労働者は、タイ人がなかなか定着しないような、労働環境や仕事内容の厳しい現場に就労しているのが現状ですが、一日300Bというタイの最低賃金は、これら3ヵ国にとっては自国よりも高く魅力的です。故に残業も惜しまず、少しでも多く稼ぎたいという気概のあるワーカーが多い傾向にあります。

約3倍の給与が約束されるタイ

HUMAN ASIA RECRUITMENT

タイとこれら3ヵ国の、1ヵ月当りの最低賃金(2015年5月時点で把握できている数値)をまとめました。カンボジアの128USドル(約1万2500円)は今年1月から、ラオスの90万キープ(約1万3500円)は今年4月から施行されたばかりの賃金です。経済成長著しいこれらの国ですが、最低賃金はタイの3分の1ほどですから、国境を越えてタイへ働きに来るのも頷けます。
最初は通訳を入れたり、ほかのタイ人ワーカーとのコミュニケーションなどに配慮が必要ですが、短期間でタイ語を習得する外国人も多く、仕事内容や環境に慣れれば定着してくれます。
前回のコラムでもお伝えした通り、今年1月にはBOI(タイ投資委員会)が奨励プロジェクトの現場レベルでの労働者不足軽減を目的に、2016年末まで未熟練外国人労働者の使用を許可しました。タイ+1として、これらの国への進出を検討されているBOI企業の方にとっては、労働力不足の解消だけでなく、進出前の試用という目的でも視界が広まったと言えます。

 

糸永里美 Satomi Itonaga
HUMAN ASIA RECRUITMENT CO., LTD. マネージャー
マレーシアに本社を置く同社タイ法人で、外国人ワーカー派遣・人材紹介を専門に担当。
タイ在住13年。日々、タイ国内の企業や工場を数多く訪問している。

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