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第2回 外国投資法の概要

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第2回 外国投資法の概要

ミャンマーで製造業や不動産開発を行うことを希望する場合、経済特区に指定されているティラワで事業を行う場合を除き、外国投資法に基づく投資許可を取得する必要があります。
外国投資法(The Foreign Investment Law)は、1988年に公布された外国投資法を改正する形で2012年11月に成立しました。同法は、外国会社がミャンマーに進出する際に考慮する必要のある重要な法律の1つであり、外国投資を促進する目的で制定されているものの、投資を制限または禁止する業種についても規定しているため、外資規制の側面も有しています。

製造業や不動産開発を行う場合には、経済特区で事業を行う場合を除き、外国投資法に基づく投資許可を取得する必要がある

また、外国投資法に基づき2013年1月に外国投資法施行規則として、国家計画経済開発省通知2013年11号が公布され、同規則と関連して、MIC通知2013年1号(以下「旧 MIC通知」という)も同日に公布されました。しかし、旧MIC通知は2014年8月に公布されたMIC通知2014年49号により廃止され、新たに2014年8月14日に公布されたMIC通知 2014年49号、50号、51号が禁止業種や合弁が強制される業種等を定めています。更に、2015年12月に外国投資法を一部改正する法律が成立しました。また、2016年3月に公布されたMIC通知2016年26号によりMIC通知2014年49号が廃止され、制限分野が少なくなりました。
なお、他の法律との関係について、外国投資法は、既存の法律の規定にかかわらず、同法の規定するところに関する事項は、同法に従って処理されると規定されているため、明らかに矛盾する場合には、外国投資法が優先すると解されています。
外国投資法の利点は複数あり、①土地の長期賃借が可能となること(最長50年かつ10年の延長2回)、②租税優遇措置(法人税の5年間の免税等)の付与、③利益配当の海外送金の権利が保障されていること等です。他方、一定割合のミャンマー国民の雇用義務、労働者の研修義務等の義務も負うこととなります。
現在、ミャンマー国民投資法(Myanmar Citizens Investment Law)と外国投資法を統合するための改正作業が行われています。ASEAN諸国において自国民と外国人との間で異なる投資法が規定されている国はミャンマーのみであり、法制度を他国に合わせる目的があります。また、現行法においては事前に外国投資法の許可を取得する必要がありますが、当該許可を事後申請の形で変更し、より投資を容易にして促進することも目的とされています。当初は2015年中に改正が完了する予定でありましたが、政権交代等の関係等から成立が遅れているものの、既に草案はDICA (Directorate of Investment and Company Administration) のHP上で公開されています。

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堤 雄史(つつみ ゆうじ)
TNY国際法律事務所共同代表弁護士
東京大学法科大学院卒。SAGA国際法律事務所 (www.sagaasialaw.com)代表弁護士。2012年よりミャンマーに駐在しており、日本人弁護士では駐在期間が最も長い。2016年2月にはタイにTNY国際法律事務所(www.tny-legal.com)を設立し、契約書の作成、 M&A等を取り扱っている。
yujit@sagaasialaw.com

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