ビジネス・経済 2018.11月号

WHAインダストリアル・ディべロップメント社 5ヵ年計画とEECプロジェクト

WHAグループは、「工業団地開発」、「物流・倉庫」、「ユーティリティ・パワー」、「デジタル・プラットフォーム」を柱にタイで事業を展開している。
総額430億バーツを投入する5ヵ年計画(2016年~20年)の進捗状況や
タイ政府が推進する東部経済回廊(EEC)プロジェクトなどについて、
WHAインダストリアル・ディべロップメント(WHA ID)社のデビッド・
ナードン工業団地 ・ 国際担当グループ・エグゼクティブに話を聞いた。

Q1 5ヵ年計画の進捗状況はいかがでしょうか。

A タイ最大手の工業団地開発会社としての地位を固めるために、順調に推移しています。タイ国内では工業団地開発に力を入れており、現在の9ヵ所から11ヵ所へ増加します。一つは、WHAイースタンシーボード工業団地1の近くにある土地(敷地面積2400ライ)(1ライ=1600平方メートル)を10月から造成しており、来年の半ばには販売を開始します。

もう一つは、「WHA工業団地ラヨン(2152ライ)」で、ラヨン市街から車で約30分程度と交通至便の土地です。国営石油化学メーカー、IRPCとの合弁事業で、21年に開業する予定です。工場の操業にあたり義務付けられている環境影響評価を取得して、航空やロボットなどの関連企業の誘致を目指します。

WHA IDが運営する11の工業団地のうち、10ヵ所がEEC内にあります。政府が進めるインフラ開発(レムチャバン港、マプタプット工業地帯、ウタパオ空港、鉄道の複線化、高速道路など)を補完する役割を担っているともいえます。

Q2 工業団地の総敷地面積はどのくらいですか。現在、購入可能な土地はどのくらいありますか。

A タイ国内では現在、4万6434ライを保有し、新たに開発中の工業団地を含めると4万8586ライになります。販売面積は2500~3000ライです。ベトナム(北中部のゲアン省)の工場の敷地面積は3100ライです。

過去2年間で開発したのは2ヵ所。国道331線沿いにあるWHAイースタンシーボード工業団地2は、約60%が売却済みです。WHAイースタンシーボード工業団地4は、大手企業のニーズに合う工業団地でタイヤメーカーなどが入居しています。18年の下半期は政府の政策が安定したことに加えて、中国からの投資増加で、販売は順調です。

Q3 EECプロジェクトは、どのような恩恵をWHAの工業団地にもたらしますか。そしてタイの産業はさらに成長する可能性を秘めていますか。

A EEC内に現在ある9工業団地は、EEC管理委員会から工業振興ゾーンとして正式に承認されています。「S字型(重点)」産業(航空と次世代自動車、オートメーションとロボティクス、スマートエレクトロニクス、バイオ燃料とバイオケミカルなど)を迎え入れるのにふさわしい、施設・設備の整った工業団地として評価されています。

港湾や道路、通信などの充実したハードインフラが、住環境の改善や教育機関(職業学校など)の設立などのソフトインフラを誘致しており、政府と民間企業の双方に利益を生む構図ができています。

EEC内では1000以上の工場が操業し、あらゆる製品を生産できる環境が整っており、タイの優位性は揺るがないでしょう。世界ランキング24位(コンテナ取扱量)のレムチャバン港も国内企業及びWHAの生産性と競争力を高めます。

これにより、タイの産業環境が一段とグローバルとなり、熟練労働者がより賃金の高い仕事に就くための素晴らしい機会となるでしょう。今後は自動車生産に欠かせないロボット・自動化(FA)に加え、食品加工(包装・冷凍化など)が有望な分野です。

Q4 ベトナム北中部ゲアン省で工業団地を造成中ですが、いつ開業予定ですか。他の国への進出も検討していますか。

A 同国で手掛ける初の事業で、当局から認可を取得しており、土地リースを19年初頭に開始する予定です。国内市場も魅力で、同国でのWHAブランドの浸透を図るために、複数の工業団地開発を検討しています。土地買収に伴う住民の移転などで、官僚的な手続きに戸惑いましたが、今後は改善していくと思います。ベトナムの魅力は人口動態で、若年労働力が多いことです。勤勉で教育水準も高いです。

ASEAN域内での貿易は関税がほぼなくなりましたが、非関税障壁(検査コストなど)が依然、残っています。部品の製造や組立てをラオスとカンボジアで行うなど、整備された域内のインフラ連結性を活用して、各国がそれぞれの役割を分担して共に繁栄していくことが望まれます。

Q5 日本企業以外の有望な外資系はどこですか。

A ここ数年、中国企業の動きが活発化しており、今年8月には幹部数百人がEECなどを訪問しました。国内での製造コストや賃金の上昇などが要因と思われます。米中間の貿易摩擦も一因かもしれません。今年の後半から来年にかけて、さらに投資が増加する見込みです。

また、航空機部品を製造する台湾企業ほか、米国やドイツを中心に欧州諸国からの投資も増加傾向にあります。

Q6 外国人投資家がタイを進出先に選ぶ理由はなんですか。

A 良質なビジネス
・住環境、整備されたインフラ、統合されたサプライチェーンに加え、法人所得、輸入機械などに対する投資奨励策や不動産の自由保有権(フリーフォールド)を付与しています。タイ投資委員会(BОI)も透明かつ公平な投資誘致を行っており、外国企業を受け入れる万全の態勢ができています。

労働コストの低い国は劣悪なインフラなど何らかの問題を抱えています。外国人投資家は良質な品質と生産管理を求めています。タイは製造拠点としてだけでなく、市場としても魅力があります。日本企業だけなく、他国の企業にも門戸を広く開ける投資環境が整っています。

Q7 タイに進出している日本企業にメッセージをお願いします。

A WHA工業団地に入居する企業の35%が日本企業です。ソフト面(言語サポート体制、相談、セミナー・マッチング主催など)で入居企業を支援するほか、環境保護など企業の社会的責任(CSR)活動にも積極的に取り組んでいます。操業まで最短2ヵ月で、生産体制を構築できる態勢が整っています。また、弊社の技術者は、自動車生産の技術を航空機関連製品の生産に転用できるように訓練しています。

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