アピシット元首相、チュラロンコン大学で講演

 アピシット元首相は8月3日、国立チュラロンコン大学アセアン・スタディーズ・センターなどが共催するフォーラム「7th Chula-ASEAN Week and 4th Parliamentary ASEAN Community Forum」 で基調演説を行った。民政移管を図るタイは来年、総選挙を実施するほか、アセアン議長国を務める。2009年にも議長国を務めたが、当時首相だったアピシット氏の退陣を求める武闘派グループのによる暴徒で首脳会談が中止に追い込まれるなど、辛酸を舐めた。


民主党の党首として2度目の首相に就任する可能性を残すアピシット氏だが、「次期政権の最優先事項は経済だ」と強調。前年の08年に発生したリーマンショックにより、タイとアセアンの経済も一時疲弊した。だが、貿易のさらなる自由化などを推進したことで、他の経済圏よりも早く景気を回復したと、世界各地で台頭する保護主義の動きをけん制した。

 増加する自然災害の際の救助作戦など、今後直面しうる難局では、共同体としてのアセアンの真価が問われる。また、加盟国が結束して交渉力を高め、中国の「(経済圏構想)一帯一路」や南シナ海での領有権を巡る懸念に対処することを提言した。
アセアンは年間約300の会合を開催するが、参加するのは政治家と官僚のみ。「一般市民にも会合に参加し、発言してもらい、アセアンの一員として活動に関与していただきたい」とアピシット氏。特に若い世代のアセアン共同体への帰属意識が高まれば、地域に繁栄と平和をもたらすだろうと期待を示した。

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