「ものづくり企業交流会2019 in Bangkok」  経営の現地化と幹部人材の育成をテーマに講演・討論

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターと公益財団法人東京都中小企業振興公社は2月27日、経営の現地化と幹部人材の育成をテーマにした「ものづくり企業交流会2019 in Bangkok」を開催した。

経営の現地化を進める企業が増える中、優秀なタイ人幹部の育成について関心が高まっている。ただ、幹部候補として育成しても辞めてしまう、どのように育成すれば良いか分からないなど、駐在員の悩みの種は尽きない。

ビジネスコンサルタント社の池田弘道氏と渡部喜道氏は、「なぜ優秀なタイ人幹部育つのか」をテーマに基調講演を行い、「最良の会社を目指す」日立金属のタイ法人の取り組みを紹介。タイ人従業員による日本駐在員候補の評価・選定、給与の開示、査定結果の提示などを経て、タイ人と日本人の連帯意識を高め、優秀な人材が定着する会社として生まれ変わった。また、セルフエスティーム(自尊心)を高めることで、従業員の行動の柔軟性が増すと指摘した。

泰日工業大学(TNI)学長顧問の吉原秀男氏は、日系企業のものづくりニーズに応える同大学の取組みを紹介した。日本企業で働きたいという学生が多く、卒業生の約6割(13-15年度)が、日系・日系取引企業に就職。ジョブフェア、インターンシップ、留学などを通して、日本で働く卒業生は150名を超える。その一人であるシリ―さんによると、タイ人は職場の人間関係を重視。仕事に対する厳しさや言葉、文化の違いをお互いに尊重して協働することを提案する。

パネルディスカッションでは、「ローカル幹部人材の育て方」をテーマに、パーソネルコンサルタントマンパワータイランド社長の小田原靖氏、三菱電機アジア(タイ)エグゼクティブアドバイザーの松本 文平氏、東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員の中尾英明氏が討論。「指示待ちの人材は幹部に不向き」「日本とタイの社会構造は似ているが、気候などの環境の違いからか、認識のすれ違いがある」「現地スタッフを長に据えないと部下のやる気がでない」「日本の本社が方向性を決め、企業文化をタイ人に伝える仕組みを作る」などの意見が出た。また、優秀な従業員とは、「その会社に合う人が優秀な人材」と定義した。

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